主任の回想録

棚割変更と売価変更(売変)

毎月1日は何かしら売価変更(売変)があるため、対象商品のプライスカードを付け替えます。
畜産部の場合はおもに、ハムソー(ハム・ソーセージ)の加工品で、
事前に販促部から、差し替えのプライスカードが送られてきます。
なお、月間特売品の場合はプライスカードではなく、
プライスカードの上に掲示する、小型POPが届きます。

「広告の品」「月間お買い得品」等の小型POPが付いていると、
「通常価格はいくらなんだ」とPOPをずらして、
プライスカードを覗く人もいらっしゃるかと。
POPにも通常(定番)価格を記している店舗もありますが、ついつい見てしまいます。

グロサリーでは商品数が多いので、売変の前週には主任がピリピリしていますが、
畜産部ではグロサリーほど、目を吊り上げるまでではないかと。
牛肉や豚肉、鶏肉と言った生肉も、月間特売品の対象になれば売変もありますが、
当日の朝にパッカーに登録されているグラム単価を変えて、POPを付けるだけ。
売り場に残っている商品は、単価以下になるように値引きシールを貼ります。

ただ、新商品の追加や売上が伸びずにカットされる終売商品など、
季節の節目では、棚割変更と同じ作業になるので、畜産部でも準備が大変です。
と言っても、棚割変更の作業は、当日までに対応できていればよいので、
前日までに時間を見て粗方、調整していきます。

というか、それをやらないと、ケース下段で売っていた商品が、
棚割変更で中段に移動したり、フェース取り(横の列数)が減らされることもあるので、
事前に少しずつ、発注で在庫数を調整する必要があります。
そのため、棚割変更と売変指示は同時に届きます。


売変当日。
棚割が整った昼頃になると、店長やマネージャーがチェックにやってきます。
ところが、どう気が違ったのか、たまにバイヤーが臨店することも。

「お!変更終わったみたいだな」

「今回は生肉中心だったんで、結構スムーズでした」

「ここの店は牛肉の売上が、いまひとつ伸びないから、突っ込んだ単価と棚割にしたんだ」

「ついつい、作業に任せて売れるものばかり追求しちゃって」

「ひき肉や豚肉ばかり売るのも良いけど、牛肉の売れる店にしてほしいなぁ」

「はぁ、味付け肉は数字が出るんですけど、和牛まではなかなか」

「今度、焼肉セットのサンプルをいくつか送るから、攻めてみてよ」

「あ、助かります。競合店をまねて、いろいろ錯誤はしてるんですけど…」

「豚肉で荒稼ぎしているって言う奴もいるけど、気にするな!」


今日はどう気が違ったのか、バイヤーの機嫌が良いらしく励まされる。

そしてヤツは高級スポーツカーに乗って、風のように去って行きました。
それにしても、豚肉で荒稼ぎって…誰だよ、そんなこと言ってんの。

確かに我が部は、豚肉の売上と荒利が突出。
これが腕の良い主任だったら、牛肉も豚肉も上手に売って、安定した数字が出せるんでしょうねぇ。

しみじみ、売り場を眺めていると、

「主任!豚のひき肉が無くなりそうです!もう2ケース挽きますか?」
「朝挽いてもらったの、もうなくなったっけ」
「今日はギョーザの皮も売れてますよ!なにかあったんですかね」

豚の挽き材を出してきて、嬉しそうにチョッパーをセットするサブ君。

豚ひき肉が売れる店も良いけど、
牛肉がバンバン売れる店にして、嬉しそうに牛肉を切らせてあげないと…。

j-rakuda

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