ドタバタの夜間業務
夜間店長と夜間店長代理のシフトが合わない場合、男性社員は店長代理として駆り出されます。おシゴトとしては、店内巡回のみならず、レジ対応に品出し、値引きに閉店作業と多忙。昼間の通常作業に加え、夜間業務となると体力勝負なので、若い社員が優先的に召集されます。
レジ対応
まだ客の波がある時は、夜間引継ぎを早々に済ませレジに入ります。
と言うか、勝手にシフトに入れるチェッカー主任。
「畜産主任~。3番レジ、セットしておいたのでお願いしますぅ」
「20時まで入ってるの?19時半までじゃないの?」
「○○(バイト)君から、体調が悪くなったって電話が」
「本当かなぁ。友達に遊び誘われたんじゃないの?」
「すみませんけどお願いしますぅ。あ、レジ誤差5,000円はダメですよ」
以前のレジ誤差は、一生言われるんでしょうね。
慣れないレジでモタモタしていると、
「ピー」
何度スキャンしてもエラー表示。
カットフルーツのパックが通らない!
「青果担当者、3番レジまでお願いします」
店内呼び出し。
もうみんな帰っちゃったかなぁ。
いそいそと、エンドウ主任がやってきます。
「このカットフルーツ。レジ通らないんですけど」
「あ!夜間品揃えなんだけど、登録申請を忘れてた。398円です」
担当者が帰っていなかったのはラッキー。
不在だと、お客を待たせて、慣れない売り場で商品探しが始まると最悪。
翌日の特売品陳列
レジが落ち着くと、ようやく店内巡回。
しかし、引継ぎ一覧の中に、翌日特売用カップラーメンの陳列指示書が。
「こんなもん。わざわざエンドに積まないで、台車ごと出せばいいじゃん」と、
お局食品主任への口答えはご法度なので、さっさとエンドを作る。
夜食
理想は業務前に済ませておくべきですが、本業終了後に間髪いれず夜間引継ぎに入るので、夜間業務の前半が落ち着いてから、値引きの惣菜や寿司かカップラーメンを購入。事務所か休憩室で簡単に食べます。
お腹を満たし、事務所で売上を確認して、店内巡回に戻ろうとしたところ、
チェッカー女子が、
「主任!お客様が売り場で騒いでいます」
言ってみると、男女二人が口論。
「アナタが唐揚げ食べたいって言ったんじゃない」
「俺は焼き鳥が無かったら、唐揚げでイイって言ったんだ」
「この焼き鳥はつくね串よ、アナタつくね串は食べないでしょう」
「これは軟骨が入ってるつくねだからイイんだよ」
「そんなこと言わないと分からないでしょう」
「そこに軟骨入りって書いてあるじゃないか」
「そうじゃなくて、軟骨入りならイイってことが分からないってことよ」
「この間、店の前の焼き鳥屋で、軟骨串を頼んだじゃないか」
「でも、つくね串は頼まなかったじゃない」
「だから、軟骨が入っていればイイんだって」
堂々巡りなんですけど。
売り場の真ん中で夫婦喧嘩はやめてほしい。
誰も食べませんし、売れません。
「すみません。他のお客様のご迷惑となりますので…」
結局、店を出るまで言い争うお2人様。
鮮魚と惣菜の最終値引き
ばら売り惣菜は夕方、担当者がパック詰めにして陳列し直すのですが、夜間にある程度、残っている場合は、鮮魚の刺身やお寿司と一緒に最終値引きをします。この時間帯を狙っているお客も少なくないようで、値引きラベラーをもって売り場に出ると、熱い視線を感じます。
「あら、今日は少し遅かったじゃない」
「すみません、仕事が押していたもので」
「ずっと待ってたのよ、アナタがくるのを」
「あ、今すぐ…」
いったい、何の会話なんだと思いつつ、カゴの中からおもむろに惣菜パックを差し出すご婦人。
「値引きは売り場に並んでいる商品に限ります」と、
突っぱねる訳にもいかず、シールを貼って差し上げます。
2人だけの秘密。
惣菜部のみなさん。ごめんなさい。
閉店準備
仕事帰りのご婦人やサラリーマン、ヤ○キー若夫婦の姿も消え、閉店BGMが流れます。
「♪明日もまた、当店へのご来店を、心よりお待ちいたしております♪」
ホッとしているところ、
「主任!お客様が、クリーニングを取りに来られました」
もうテナントは閉店してますよ。
「すみません。テナントは20時閉店でして」
「明日の朝、着ていくスーツなの。変えが無いのよ」
「担当者がいないので、お洋服があるかどうか…」
「明日、参観日なのよ!どうにかしてよ」
「はあ。引換券はございますでしょうか」
引取日が2日前だったので、テナントの鍵を開けて探してみる。
「あ、その紺のスーツ!それよそれそれ!」
2日前に取りに来てよと思いつつ、大喜びして帰って行く後ろ姿を見ると、なんともいえない気持ちに。
結局、10分遅れの閉店。
いつになったら帰れるんでしょう。