主任の回想録

年末のアルバイト教育

パックの練習

基本は短期アルバイトなので、あまり教育に時間はかけられないのですが、生鮮の場合、今作業している商品が、いったいナニモノなのか。アルバイト本人の暗記力にも左右されますが、少しでも憶えてもらう方が、断然、仕事は早くなります。

我が畜産部の場合、加工品の品出しやインストアのベーコンや冷凍ウインナーのパック詰めのほか、催事場のハムギフト陳列や生肉のパック作業など、単純作業を担当してもらいます。比較的、憶えがよい子には、鶏肉の塩水処理とパック詰めもお願いします。あとは、作業後の器具洗浄でしょうか。

しかし、避けて通れないのが生肉のパック作業。
オートパッカーでは追いつかない場合、手動パックの出番です。

「この肌色の方が鶏ムネ肉で、ムネ肉より赤っぽい方がモモ肉ね」
「この赤い肉は牛肉で、牛肉より薄い色の方は豚肉ね」

パック作業だけなのに、なぜ肉の違いを教えるのか。

そう。混ぜていただいては困るのです。

最終的に値付けする際、品出しする人間が1品ずつ、きっちりチェックしているため、混ざってもすぐわかるのですが、そこは年末。ドタバタの勢いで値付けして、売り場に並べてしまうことも。

同じ牛肉、豚肉、鶏肉でも部位が違うと単価も違うので、よそ見をしていて、ついうっかり気づかずに値付けして、売り場に並べてしまった…と言うわけにはいきません。

またパックした後に、「和牛」「特選豚」「鍋物用」「クリスマス準備品」などのシールを貼ってもらうこともあるので、うっかり目を離した隙に、豚肉の薄切りに「和牛」シールを貼られてしまうと、悪夢のパックし直しも。

混ぜては困るものと言えば、ウインナーやハムの加工品もその一つ。メーカーによってパッケージのデザインも違うので、同じパッケージの場所へ並べればいいのですが、慣れていないと、どれも同じように見えてしまうようで、ケースの後ろから別のウインナーが出てくることも。

さらに、品出しに意識が集中してしまうと、消費期限のチェックをすっ飛ばして、古い日付の上に新しい商品を積んでしまうことも。慣れてくると、先入れ先出しは無意識にできるようになるのですが。

「これはポリマハムの減塩ウインナーで、こっちはポークウインナー」
「それはイッポンハムのチャオエッセンで、こっちは伊西ハムのパイエルン」
「下越ハムのロースハムと、信川ハムのロースハム。同じだけどメーカーが違うんだよ」

「わー、いろいろあるんですね。全部肉なのに」

そう。全部肉なんです。(笑)

忘れていた初心に戻ります。

加工品の品出しも落ち着いたので、バックヤードに戻ろうとすると、サブ君が小走りにやってきて、

「主任!ローストビーフが薄くなってきました。切りましょうか」
「ああ、スライスして出してくれるかな」

「あ、添えのレタスが無いんで、卸してきます」
「じゃあ、○○君(アルバイト)に行ってもらおうか。青果売り場へ行って、レタス1個卸してきてくれるかな」

しばらくすると、

キャベツを1個、持って帰ってきたバイト君。

なるほど。
キャベツとレタスの区別がつかないんですね。

j-rakuda

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