黴菌スーパー

「へぇこんな変なスーパーがあるんだ。ウチは大丈夫だよ」
大多数の声であることを信じております。


いい商品だけ売ってりゃ文句ないでしょ。

素人が俺のシャバ(バックヤード)に文句を付けるのか?

じゃあ、
・キャップを被らずに、手も洗わずにタバコ吸いながら刺身切ってていいのか。
・まな板も、庖丁も消毒しないで、床清掃もしていない所で肉を切ってていいのか。
・人員不足だからと言って、従業員トイレは掃除しなくていいのか。

良いんでしょうか。本当に。

それで、いい商品が売れるのでしょうか。
それで、良いサービスができるのでしょうか。

バックヤードの汚い店は、人間の敵。


管理責任を現場担当者に押し付ける。

衛生管理の責任を、店や担当者に押しつけていませんか。

店長、部長、社長。
あなた、各店のバックヤードが思い出せますか。
パートさんの顔まで思い出せますか。

現場の現状を忘れてませんか。
見ようとしていますか。

バックヤードが綺麗になって初めて、より良いサービスを提供できるのかと。


汚くて乱れているバックルームで働いている従業員の気持ち。

乱れた気持ちで商品作って、はたして売れると思いますか。
今売れてたとしても、この先、保証はできません。

人間だったら、誰だって綺麗な場所で仕事したいじゃないですか。
綺麗なバックルームで、綺麗なまな板で、切れのいい綺麗な庖丁で、
イキの良い魚を捌きたいじゃないですか。
霜降り肉を切りたいじゃないですか。

綺麗な油でおいしい天ぷら、アツアツコロッケ揚げたいじゃないですか。
美味そうなフルーツ切りたいでしょ?

引っくり返ったダンボール箱に詰められた、セーターやコート、下着、
売り場に並べてていい気持ちしますか。
やっぱり、パリッとしたモノを陳列したいですよね。

お客さんの喜ぶ顔が見たいですよね。
お客さんの喜ぶ顔を見ましょうよ。

簡単なんですよ。

掃除するだけなんです。ほうきとチリトリと雑巾だけなんです。

バックルームの汚れと共に、心の汚れも拭き取ってしまいましょうよ。
スッキリしますよ。

きっと、邪念も無くなり、素直な気持ちで売り場に立てるのでは。
と思いますし、そうあってほしいです。

お客さんに対しての笑顔も、絶対違ってくるはずなんです。
絶対違います。
本当に違います。


恐ろしい食中毒。

人間はチョットしたことで、思わぬところで犯罪者となり加害者となるのです。
誰でも、ありうることなんです。

せっかく、縁あってスーパーに勤めて、みんな一緒の職場で仕事しているんですから。
これって出会いなんですよ。

一生、暗い影を背負って、刺身切りたくないでしょ?
牛肉切りたくないでしょ?

明るい笑顔で、売り場を作りたいじゃないですか。
今みたいに、平凡でつまんない毎日だってイイじゃないですか。

もし仮に、人ひとりの人生狂わせてしまったら。
自分の人生だって、何もかも狂っちゃいますよ。

幸せな家庭もかわいいムスコもムスメも、とーちゃんもかーちゃんも、泣いちゃいますよ。
かわいそうでしょ。

ささやかでも、温かい暮しを失いたくないじゃないですか。
家族の笑顔。

従業員の幸せは、お客の幸せです。
お客の幸せは、従業員の幸せです。


掃除はゼニにならん。

ねえ。これが自分の家だったらどうでしょう。
そのまま放置しておくのでしょうか。

「teruさん。忙しくって掃除できないっすよ。ウチの店長「掃除はゼニにならん!!」って」
「残業すれば、嫌味言われるし。俺だって掃除したいッすよ」

確かに、売上や利益がなければ店は継続できませんし、従業員も雇えません。
端的にみれば、利益にはつながっていなようにも見えます。

しかし、本当にそうでしょうか。

仮にそんな環境で食中毒出したら、一発で利益吹っ飛びますよ、
先代から何十年もかけて積み上げてきた信用も、一夜にしてゼロですよ。
チェーン店なら、なおのこと。

それじゃ、あまりにも寂しいじゃないですか。
お客からカネ、搾り取るだけの仕事なんて。
寂しくないですか?

もし、そんな社風であれば、早めに見切りをつけることをお勧めします。
きっと、あなたの人生にマイナスばかりですから。

掃除は悪と思っている主任、店長、社長はいませんか。

掃除が「ゼニにならん!!」と本当に思っているなら、あなたは人間失格です。
輝ける未来ある流通業を、根本から否定する極悪人です。
風上にも置けません。

「進んで掃除できる雰囲気」
これは、会社、お店がそう言う雰囲気を作ってあげなければなりません。

清掃しないのは、担当者が悪いと平気で言ってる店長。
清掃しないのは、担当者が悪いのではなくて、
掃除をさせる環境作りをしない、責任者が一番悪い。

別に責任者に恨みがあるわけではないんです。
もし、進んでやらない従業員だったら、自ら教えてあげましょうよ。

マニュアルがあるなら、きちんと守りましょうよ。
変なマニュアルなら、直しましょうよ。

きっと改善しますよ。根気ですよ。

床が汚けりゃ、自分の長靴だって汚れるでしょ。
ズボンのすそだって汚れるでしょ。
白衣だって汚れるじゃないですか。

パートさんだって解かってますよ。

「掃除したいし気になるけど、主任も店長も言わないのに勝手には」って。
スーパーは女性が働く、来店する率の高い場所です。

おっさん連中が勝手な常識で仕切っていては、正直言ってダメスーパーです。
女性客、従業員の正直な気持ち聞いてみる環境を作ってほしいです。


まともなスーパーは、店舗周りを綺麗に整理整頓している。

あなたは整理整頓の意味を知っていますか。

整理とは要る物と要らない物を別けて、処分すること。
整頓とは区別した物を、すぐ使える状態にしておくこと。

「売れているから良いじゃないですか。今の所、まあ大目に見てよ。teruさん」

整理整頓ができない店舗は、お客から対象外スーパーとして整理整頓されます。
未来はありません。

その店の器量は、バックヤードと店舗周りが、いかに整理整頓されているかで決まります。
あなたのお店。大丈夫ですか。
事件事故が起こってからでは。遅いんですよ。
早めの対策を。

あなたのよく行くお店。
もしくは、あなたの勤めるお店はどうですか。


掃除によって、心の邪念も捨てる。

今までの不満をゴミと一緒に捨てましょう。

綺麗なバックルームで、綺麗なまな板で、切れ味のいい庖丁で、霜降りマグロをスライスする。
切りたいでしょ?

美しく磨かれた床の上で、アツアツの豚カツを揚げる。
チキンをローストする。美味しいもの揚げたいですよね。

「あれ、美味しかったね」って言って、また来店してほしいじゃないですか。
買って行ってほしいじゃないですか。
「あの店じゃなきゃダメ」って言ってほしいじゃないですか。

言われましょうよ。
「あの店じゃなきゃダメ」だって。

確かに掃除自体はゼニにはならないかもしれません。
時間をかければかけるほど、数字上では損するかもしれません。

しかし、この業種自体が「清掃・清潔」の上に成り立っている事だけを忘れてほしくないのです。
掃除ができなくなった店舗、バックヤードが臭うようになった店舗。

もう、そんな時代じゃないんですよ。

時代はどんどん進んでいます。
もう、そんな古い感覚やめましょうよ。
新しいスーパー目指しましょうよ。
ねぇ。

従業員全員が、気軽に雑巾とほうきとチリトリが持てる環境を作ってほしいです。
そうすればきっと、売り場もガラッと変わる。
間違い無いです。

お客の笑顔も違ってきます。


※本稿は過去記事をリライトしたものです。