あわない一尺

■7/28 あわない一尺

午前中、棚変えをする。

本来であれば、閉店後とか開店前にするべきものであろうが、
そんな事やってると、時間も無駄だしカイシャから「それはダメ!」と一言も
言われてないので、営業時間内でお客様に迷惑のかからぬ様実施する。

夏の棚変えは、7月頭に実施したのだが、競合店「永遠」対策として、
バイヤーが深夜遅くまでの業務を縫って、我が姉妹店の為だけに組んでくれた。

今頃になって・・と思ったがヤツにとしてみたら、夏商材の売れ行きを見て、
夏休み・お盆前の掻き入れ時に合わせた売り場を組みたかったらしい。

朝一番にヤツはやってきて、簡単に説明をした。

なにかまた、メンドクサイ念仏を唱えて行くと思いきや、あっさり帰る。
・・彼の怪しげなTシャツが、公休を物語る。(関西風柄)

しかし組んで行くと、どうも尻の方で窮屈になる。
逆に尻からあわせて行くと、頭の方が入らなくなる。

どーもオカシイと思ったら、ヤツは尺数を間違えていた。

これで言い訳ができると、尺数は自分の好きなように組みかえる。
売れるものを目一杯広げて、その他中段はそこそこの尺数に組む。

「案外、暗黙の了解ってヤツかも・・ヤツもオトナになったな。」
きっと、わたしにも売り場作りを考えろ!と言うメッセージであると勝手に解釈する。

駐車場の草刈から帰ってきた店長が、広がった焼肉コーナーと斬新?な棚割に見入る。
「おお!なんか変わったみたいだな。イイんじゃないか。」

・・おめー。競合店対策として練り上げた売り場を「なんか」とは何事だ!!

と思ったが、ヤツは以前から畜産売り場にあまり興味がないらしいので、聞き流す。
もっとも、これが畜産出身の店長なら、テキトーな誤魔化しも通用しないんだけど。

夕方になって、日焼けしたバイヤーが店に戻ってくる。
「あれ?・・・こんな棚割だったか?」

・・やべ・・、尺数崩しすぎたのがバレタであろうか。
今朝くれた棚割表を見せろと言う。

「・・ああぁぁぁ。表のフォームが(絶望の丘店)用だったわ。」

・・貴様、この道何10年やっとる。
一時でも、ヤツの好意だったと思った自分を恥じた。

結局、ヤツが自分で売り場手直しして棚割表書きかえると言うハメに。
あまりに可愛そうなので、後でコーヒーを買い与える。

中間管理職も大変だと思った。